only one


「まだウジウジと考えているのか?
てめぇの悪いところだよ。
四の五の考えずに遥夢のところに行ってやれ!」


「そうです。我々のことはお気になさらず、行ってください。」


笑顔を浮かべながら俺に話す二人。


「行けるわけねぇだろ!」


怪我をした二人をこのままにして俺が行けるわけがない。


そう考えたとき、


「マツ、何をグズグズと悩んでいますの?
遥夢は町の楽器屋でアルと二人っきりでいますのよ。
アルのようなイイ男と二人っきりで...
危ないですわ...危険ですわ...。」


崩れた壁の向こうからツカツカと足音を響かせながらデリーが部屋に入ってきた。


「デリーの言う通りだぜ。
アルが遥夢に手を出さないって保証は.....。」


あるから心配なんかいらねぇけどなって続く言葉を聞く前に俺は部屋を飛び出していた。


3人の笑い声と、


「訓練はこれで終了しました。遥夢様と一緒に城にお戻りになるのをお待ちしています。」


俺の背中を追うように掛けられたデュランの声に、


俺は振り返らずに、それでも手を軽く上げて応えると楽器屋に向けて走った。


待ってろよ!


遥夢。


お前を俺の腕の中に閉じ込めてもう放さない。


ずっとこれからは俺達は一緒だ!











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