only one


「遥夢!!」


マツの声が聞こえて冷えていた体中に熱が戻ってきた。



だけど声が出せない。


マツって呼びたいのに声が出ないよ!!



「てめぇ!!遥夢をどこにやった!」


見えるよマツ。


私からはあなたの姿が見えるよ。


お願い!!


「アルとティルに乱暴しないで!」


ゴボゴボと口の中に冷たい水が入るのを感じたけれど私は夢中で叫んだ。


水の冷たさなんて感じなかったのに光に包まれて私は水の中を漂っている。


あれ?


カプセルの中にいたんだよね?


そんな風に感じていただけで実は湖の中を彷徨っていたの?


にしては急に息苦しく感じるのだから今まではやっぱり湖の中に直接入っていたわけじゃないよね?


なんて考えている間にどんどん呼吸が苦しくなっていく。


「遥夢様は新の乙女になるために試練を受けている最中です」


「誰にも邪魔は出来ない聖なる儀式なんだよバカヤロー!」


「儀式だかなんだか知らねぇけど、遥夢を今すぐ返してもらう!」


「ええ、あなたの登場で儀式は終了しました。たった今...」


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