only one


ディアスが離れてからもマツの周りはバチバチピリピリと電気を放っていた。


「どうして?」


不思議に思った私が話しかけるとディアスは気まずそうに応えてくれたんだ。


「アイツはどんなに近くにいても長い付き合いでも気を許すことはねぇんだよ。
子供の頃から常に気を張って生きなきゃいけなかったんだ。
だから...正直お前にメロメロなアイツを見て驚いた。
長い付き合いだがアイツのあんな顔見たことねぇよ。」


マツはマツの世界では私の知らないマツなの?

だってマツはいつも優しく笑って私を受け止めてくれていたよ。

長い腕で私を抱きしめてくれたよ。



「信じられないよ...。」


「だから俺だってお前の知るマツの姿が信じられないだって!」



ポツリと零れた私の言葉にディアスはすかさず言葉を被せた。



私の知るマツ。


ディアスの知るマツ。



どっちもマツに変わりはない。

だけど私はマツが自分の知らないマツでも側にいたい。


「おら!行くぞ!」







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