only one
悲しくて…
ディアスに手を引かれて入ったのは目の前に広がる森の中だった。
入り込めば入り込むだけ木々に囲まれ薄暗くなっていく。
でもマツも言ってたよね。
森を抜けると俺の家があるって...。
だから大丈夫!!
本当は少し怖いんだ。
マツと離れたこともこれから何が起こるのかもわからないんだから...。
大丈夫だと自分に言い聞かせても後から追いかけてくる不安。
それを見ないように考えないように私はただディアスの導く方向に着いて行くしかなかった。
「やけにしおらしいじゃねぇか。」
ディアスにギュッと掴まれた手が解かれて彼は私の正面に立った。
ニヤニヤと笑いながら話しかけてくるディアス。
私は何も応えることが出来ずだたディアスを見ていたんだ。
「記憶...そろそろ預からせてもらっていいか?」
彼のグリーンの瞳が私をじっと見ている。
マツと一緒にいるための試練。
覚悟は決めたんだ。
失ってもきっとまたマツと一緒に過ごせるって信じているから踏み出したんだ。
だから...
「いいよ。」
私もディアスに視線を合わせて応えた。