only one
「遥夢の生きてきた時間も辛いものだったんだな。」
私の話をただ黙って聞いてくれていたディアスの呟き。
「辛い?」
そうかもしれない...。
そうだったかもしれない...。
でもマツに逢う事で私の生活は一変したんだ。
マツは私を隗夢から救ってくれた。
隗夢と一緒に暮らす地獄の生活から私を救い上げてくれたんだ。
「マツが変えてくれた?」
私の言葉はディアスに聞こえてるんだろう。
口に出さなくても私の心の声も頭の中の声もディアスには全部聞こえるんだよね。
「うん。」
ディアスの問いかけに軽く返事をしながら頷いた。
「聞かせろよ。お前の口からマツがお前をどうやって救ったのか。」
そう言ってディアスは私を正面からまっすぐ見つめていた。