カレイドスコープ2〜先生と過ごす日々〜
二人、手を握り合ったまましばらくの間、時の経つのも忘れていた。



あ…他のお客さん来ちゃった…。




「愛菜、そろそろ行くか?」



私の顔を伺いながら先生が聞いた。



「はいっ!そうですね…。」



にこっと笑顔で答えて、トンネルをくぐり抜けた。



もうちょっとだけ居たかったなあ…なんて、後ろ髪をひかれながら。






「お!イルカショーだってさ。」



途中で先生が案内板を見つけた。



「イルカショー!懐かしいっ!」



思わず声を出してしまった。



小さい頃に家族で見たなあ、イルカショー。



楽しかったなあ…。



「もうすぐ始まる回があるぞ。せっかく来たんだし、見に行ってみようか!」



先生は足早に会場の方へと歩き出した。



きっと、私の顔に出てたんだろうな…『見たい』って。



先生は私の気持ち、ちゃんと見抜いてる…。



何も言わないけど、さりげなく誘ってくれる先生の優しさが、とても嬉しいんだ…。



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