カレイドスコープ2〜先生と過ごす日々〜
「そうだ、愛菜に渡したいものがあったんだ。」
先生が私の方に体を向けた。
慌てて一瞬だけ目線をそらした私。
「渡したいもの…?」
「うん…。実はこれなんだけど…。」
そう言ってちらっとYシャツの右ポケットから見せたのは、私が先生からもらった万華鏡…。
そういえば、朝出発する時に先生に貸してほしいって頼まれたんだっけ。
「借りてた理由はこれなんだ。」
ポケットから取り出した万華鏡にはペンダント用のチェーンが付けられていた。
「すごい…。万華鏡のペンダントになってる…!」
先生…いつの間にチェーン付けたんだろう?
そんな時間…あったっけ?
「宏介、いつ付けたの?」
「実は、さっきの博物館に行った時に、中に設けられていた工房の人に頼んだんだ。もともとこの万華鏡、ペンダントだったんだよ。」
へえ…そうなんだあ…。
小さな万華鏡だとは思ってたけど、もとはペンダントだったんだね…。