カレイドスコープ2〜先生と過ごす日々〜

「あ!りんご飴!」



りんご飴の屋台の前にさしかかり、私はふと足を止めた。



なんか懐かしい…!



先生と初めて会ったのも、りんご飴の屋台の前だったんだよね…。



まあ、会ったのはここじゃなくて他のお祭りの会場だけど…。



あの日、万華鏡をくれた人が今は私の隣にいるんだ…。



まさかこんな未来が待ってるなんて、10年くらい前の私は思ってもみなかった。


「…そういえば、愛菜と初めて会ったのって、りんご飴の屋台の前だったよな。」



思わずびっくりしてしまった。



「宏介…、そんなところまで覚えてくれてたの…?」


「なんとなく…だけどな。でも、あそこで泣いてた愛菜のことは、よく覚えてるよ。澄んだ瞳に涙ためてる姿とか、万華鏡渡した時の笑った顔とか。」



懐かしそうに話す先生の横顔にドキッとしていた。



「あの時の女の子が今は俺にとって大切な存在になってるんだよな…。」



私の方を向いた先生は、あの日を思わせる優しい笑顔だった。



変わらない笑顔…。



私だけの安らげる笑顔なんだ…。



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