カレイドスコープ2〜先生と過ごす日々〜

りんご飴を買い、再び歩き始めた。



金魚すくいや、おもちゃを売る屋台を見ながら、川沿いに出た。



「もう少しだな。打ち上げ花火。そろそろ座ってようか?」



時計を見ながら先生に聞かれ、私は頷いた。



周りを見ると、既にたくさんの人たちが座って、花火が始まるのを待っている。


私も飴をなめながら、空を仰いだ。




「…愛菜、今日のことなんだけどさ…。」


先生が口を開いた。


今日……。



あの人のことかなあ…。



「深谷 澪って言うんだけど、俺の高校時代の同級生で2年間付き合ってた奴なんだ…。」



そっか…。やっぱり付き合ってた人なんだね…。



「こっちに引っ越してきたらしいんだ。他の友達から俺がたまたまこの学校にいることを聞いたらしくて、ちょっと来てみたって言ってた。」



「そうだったんですか…。先生すごく懐かしそうな顔してましたよね。」



「13年ぶりくらいだからな。でも、用事あったらしくて、愛菜が帰ってから10分くらいしか話さなかったよ。」



「えっ…!」



そうだったんだ…。


少しほっとしている自分がいた。



「愛菜、気になってたろ?さっき、屋台歩いている時に何だかそんな風に見えたからさ。」



先生に顔を覗きこまれ、私は素直に頷いた。



うわ〜!やっぱり先生には見透かされてたよ…。



顔が真っ赤になっていくのを感じた。



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