カレイドスコープ2〜先生と過ごす日々〜

夜の電話


…その日の夜。



可愛いなあ…。



私は、部屋で先生からもらった花を机に飾り、じっくりと眺めていた。



とっておきの宝物!



そう思いながらガラスケースに手を触れた。



“ピリリリ…”



携帯電話の鳴る音にびっくりして、慌てて画面を見た。



えっ…先生!?



画面に出ている“入江宏介”の名前が心をくすぐる。


「はいっ…もしもし?」



急いで電話に出た私の声は緊張で少し震えてしまっていた。



「愛菜?今大丈夫か?」



電話口からの先生の声。



落ち着いていて、低い声がかっこいいよ。



いつも学校で聞く声とは、また少し違った感じだけど、この声も好き…!



「大丈夫です。こうやって電話越しで話すの初めてですよね。なんだか感動してます。」



「愛菜の声、可愛いな…。癒される。」



「先生、今にこにこしてそう…!」



「愛菜も今笑ってるだろ?」



お互いでそう言い合って笑った。



顔は見えないけど、どんな表情してるのか何となく分かる…。



きっと通じ合ってるってことなんだよね…。



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