カレイドスコープ2〜先生と過ごす日々〜
「そのかわり…にはならないかもしれないけど、電話するよ。時間、今ぐらいでいい?」
「はい!」
会えなくても、電話で先生の声が聞けるんだ…。
「ただし、今は受験の大切な時期だから、そんなに長話はしないからな。少しだけ…だぞ?」
「…はい。」
少しだけ…かあ…。
声のトーンを落として返事をした。
「愛菜の将来をきめる大切な時だからさ…。今は自分の時間…、大事にしてほしいんだ。」
先生は本当に私のためを想って言ってくれてる。
そうだよね…。
今は自分の受験に集中しなくちゃ。
応援してくれる先生のためにも、精一杯頑張るよ。
「…愛菜、今、空見上げてるだろ?」
不意に先生が言った。
「よく分かりましたね!」
「風の音が少し聞こえるからさ。」
“ガラッ”
電話の向こうからその音が聞こえてきた。
「先生、窓開けたでしょ?音が聞こえたよ。」
「うん。ベランダに出てみた。愛菜が見ている夜空、俺も見ようと思ってさ。」
二人で今、空を見てるんだね…。