カレイドスコープ2〜先生と過ごす日々〜
9.嘘と涙

浮かない表情

月日があっという間に流れ、新年を迎えて一ヶ月ほど過ぎた。



クリスマスイブの日に渡しそびれた手編みのマフラーは、新年に入り、最初の登校日の時にこっそり先生に渡しに行った。



先生は手編みのマフラーをとても喜んでくれて、すぐに巻いてみせてくれた。



紺色の手編みのマフラーは、少しいびつな縫い目のところがあったけれど、先生は、“心がこもっていて嬉しいよ”と言ってくれた。



私たち3学年は大学受験もあり、新年になってから学校に行くことがほとんどなくなった。



だから、手編みのマフラーをしている姿とか、あまり見ることは出来ないけど…



登校日に、準備室に行くと、先生の机の上に手編みのマフラーがたたまれて置かれていたり、イスに、掛けてあるのをよく見かける。



先生、使ってくれているんだあ…。



そう思うと嬉しかった。



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