カレイドスコープ2〜先生と過ごす日々〜
「あの……お願いがあるんです…。」


私は会計の横にある言葉を指差した。


「この万華鏡にも彫っていただけませんか?」


そう…書かれていた言葉は、


“ご希望に応じて、あなたのお名前も彫らせていただきます。”


という内容。


万華鏡には無理かも…と思ったけれど、それを承知で聞いてみた。


「この万華鏡に…?うーん……。」


おじさんは万華鏡を見ながら、少し考えている。


そうだよね…。普通はそんなお願いなんてしないよね…。


でも…



「お願いします…。」




「…よし。分かったよ。少し待ってもらってしまうけど…いいかな?」



おじさんがにこりと笑った。


「はい!ありがとうございます!」


私はお辞儀をした。


「それで、彫る字を教えてもらってもいいかな?」



「…アルファベットの“A”をお願いします。」



少しドキドキしながら言った。



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