【奏】ミントチョコレート
「そう」


「えっと…何かな?」



何を言われるのか予想も出来なくて
身構えたまま返事をした。


「あぁ…今、じゃなんだから
ここ終わった後ちょっといいか?」


「あぁ…うん」


いつも2~3時間歌ったら
皆でフジモの家に戻るのが恒例で
今日もそのつもりだったけど
そう返事をすると皆の元に戻った


戻っても気になるのは


――…さっきのアイツ。



…もしかして告白?



いやいや…それは…


うん、絶対ないな。



だってそんな素振りどころか
嫌われてるっぽいし…。

何よりメンバーに
異性に見られてないし…。


もしかして…
フジモと仲良くするなとかかな?




フジモとアイツは幼馴染で相当仲が良いらしいけど
私とフジモも仲良くて…
私がフジモといる時、アイツは近づいて来ないぐらい
私が嫌みたいだし…。


「ミィきしょい」



「はぁ?!」


いきなりフジモに言われて
キレ気味な私に
フジモは一瞬たじろいだ。

「1人赤い顔してるかと思ったら
青い顔して今度はしかめっ面して
1人百面相かよ?」


「んな顔してないし!!!」


「おぉ…こわっ」



キッとフジモを睨んだ。


私はこれからあんたの幼馴染に
文句言われるってのに
能天気な男だよ…。



でも…フジモが悪い訳でもないし
怒っても仕方ない…。


大きくため息をつくと
フジモから視線を外した。



「何だよ、何だよ」


フジモは不服そうにしてたけど
アイツの事は忘れて楽しんだ。


気づくとアイツはいつの間にか部屋に来てて
談笑してる姿なんかを見てると
余程、私は嫌われてるんだなぁっと思った。



別に…私だって

アイツなんか苦手だし…。

帰りを考えると気が重くなった。


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