【奏】ミントチョコレート
うとうとしかけた瞬間



「なぁ…今日のって光石の男?」



「…彼氏って事?」


微睡(まどろみ)ながら答えた。




「…あぁ」



彼氏なんていないし

それより今日の男って誰?


寝ようとしていた所為か頭が上手く働かない。



「と言うより…今日のって誰?」



岩瀬君の方を向くといつの間にかこっちを向いてて


初めて見る眼鏡をかけてない姿に驚いた。



眼鏡かけてる時と…全然、違う。


眼鏡でわかんなかったけど
切れ長の目に端正な顔。




ひょっとして…
…かなり
カッコいいんじゃないかな…。



驚いて、目が覚めた。





ってか、いつこっち向いたの?



疑問を浮かべる表情を勝手に解釈したらしい



「ほら、今日はぐれた時に会っただろ…」



はぐれた…



ん~…あぁ迷子の時か…



「潤の事?」



岩瀬君が頷くのが見えて…。



「あれ弟
1つ下なだけだから、姉扱いされてないし
生意気なんだよね」



私がクスクス笑うと

岩瀬君はいつもの無表情になり

また背中を向けられた。




自分から聞いた癖に~。


しかも、寝ようとしてたの起こして

ノーリアクションかよ。


そう思って
そのまま背中を向けて
また寝よう目蓋を閉じた瞬間



…思い出した。




「そう言えば話って

何だったの?」



背中を見つめて問いかけるけど

その背中は壁を向いたままで…。




「……好きなんだ」



なーんだ、恋の相談か~!!!


フジモと仲良くすんなって言われなくて良かった~。


今までメンバーの恋バナとか紹介とかしてきてるもんね。



初めが聞こえなかったから


「誰?誰?

私の知ってる人??

協力するよ~」


そう言ったんだけど

その瞬間

見つめていた背中が反転して

岩瀬君がこちらを向いた。



でも、表情は見えなくて…。



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