あめだま

思い出の味

「大丈夫だから泣かないで」
そう言って男の子は私の頭を撫でる。
だけど、なんだかとても悲しくて、私の涙はとまらない。
それをみた男の子はほんのすこし困った顔をした。
それからおもむろにポケットからあめだまを取り出して口に含んだ。
「まゆりちゃん、ちょっと顔あげて？」
そういわれて、ちょっとだけ顔をあげると、そこには男の子の顔があって、唇が重なっていた。
間近で男の子の顔を見てみると、とても整っていて、綺麗な顔をしていた。
『きれい…』
私がそう思っていると、口の中に甘いものが入ってきた。
男の子は唇を離すと、ニコっと笑うと、
「…………………」
何かを言ったけど、私には聞き取れなかった。