孤高の狼に捧ぐ恋唄
マスターはきっと月のことで、私には想像もつかないような苦労をしてきたんだと思う。
そんなある日、マスターは月に買い出しを頼んだ。
いつもなら「どうせ閑古鳥の喫茶店だから」と言って、店を月に任せ、
その閑古鳥の喫茶店へ来るお客のために材料を厳選しに、自ら買い出しへと行くのに。
私も荷物くらい持てるし、と思って月について行こうとしたらマスターに引き止められた。
月が『セレネ』を出て行くと、マスターが私に話し掛けてきた。