孤高の狼に捧ぐ恋唄
「月のところへ行くかい?」
私は驚き、マスターを見やる。
「いいんですか……?」
マスターはゆっくり頷いて、
「その方があるいは月も……」
とまで言いかけてハッと口をつぐんだ。
思慮深いマスターが思わず口にしてしまいそうになるほど、月の容態は切迫しているのだろうか。
そう思うと、私は今にも崩れてしまいそうだった。
でも、月に会いたい。
その一心で踏みとどまる。
「行きます……」
月の元に。