孤高の狼に捧ぐ恋唄
マスターはゆっくりと頷き、私を支えながら一歩一歩、歩みを進めた。
私も必死でついて行く。
しばらく歩き、少し奥まった場所に月の病室はあった。
ドアには『面会謝絶』のプレートが物々しく掛かっていた。
マスターは、まるでプレートが掛かっていないかのように、カチャリと静かにノブを回した。
マスターに促され、恐る恐る病室へ入る。
白い天井、白い壁。
そして白いシーツ。
何もかもが白い中、月だけが色を持っていた。