孤高の狼に捧ぐ恋唄


マスターの手を借り、そっと月に近付く。



色白の肌は血の気が失せ、まるで白磁のよう。

射竦めるような狼を彷彿とさせる青っぽい瞳はそこにはなく、代わりに長いまつげが顔に際立っている。



幾本も連なる管は月と機械を繋ぎ、バイタルのしるしを刻んでいた。



「月ぇ……っ」



嗚咽とともに弾き出された言葉は、病室に虚しく響き渡った。



呼びかけても、ピクリとも動かない。

ゆっくりと浅い呼吸の音だけが、微かに聞こえているが、それも私の嗚咽でかき消されてしまう。



私はそっと手を握った。


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