孤高の狼に捧ぐ恋唄
ひんやりと冷たい手。
とくとくと命の鼓動があるのは、月のではなく私のもので。
私はなんとか月を感じとろうとしたけれど、集中すればするほど、自分の命の鼓動を感じる。
ぽたぽたと涙がこぼれた。
月の頬に落ち、伝い、髪へ、枕へと流れていく。
ピクリと月の瞼が動いた。
「月……月ぇ……!」
狂ったように月の名前を、何度も何度も呼んだ。
うっすらと月の瞼が開かれた。
「月っ……」
唇が。
ゆっくりと、声にならずに、
それでも、確かに。
『明日香』
『良かった』