孤高の狼に捧ぐ恋唄


「明日香ちゃん……体に障るよ?」



マスターに退室を促されるが、私はずっと月に付き添っていたかった。



だって、目を開けたもの。

私の名前を呼んだもの。



次に月が起きたとき、誰もいない病室だなんて可哀想でしょ?



だから私が月のそばにいてあげるの。



いつ月が目覚めてもいいように。



私がそばにいなきゃ。



「もう少し、ここにいさせて」



月が目を開けるまで。


< 142 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop