孤高の狼に捧ぐ恋唄
マスターは黙って私の肩に手を置き、一言だけ言った。
「ちゃんと休むんだよ?」
その言葉が聞こえたとき、看護師が見回りに来た。
マスターは私のことをあれこれ説明してくれた。
マスターはずっと月に付き添っていて、何か起きたときに看護師を呼ぶことになっていたらしい。
看護師は月に変化がないのを確認し、私のために簡易ベッドを運んできてくれた。
勝手に病室を抜け出したことも、点滴を外したお咎めも、
「あとでね」
と言い、看護師は出て行った。