孤高の狼に捧ぐ恋唄
鼓動
翌日、窓から差し込む光で目が覚めた。
私が月の顔を見つめていると、看護師が朝の巡回に来た。
昨日の夜勤がまだ続いているらしく、簡易ベッドを用意してくれた看護師だった。
「ベッド、使わなかったのね。
少しは寝れた?」
私にそう声を掛け、月の様子を確認していく。
「……はい」
私が答えると同時に、医師が診察に来た。
看護師はテキパキと月の状態を伝達し、医師の言葉を待つ。
「峠は越えたようだね」
待ち望んだ言葉に、私は涙を流した。