孤高の狼に捧ぐ恋唄
それからしばらくして、マスターが生あくびをしながら病室へ入ってきた。
マスターは医師に月の容態をきき、微笑んだ。
「あとは意識がハッキリ戻って、傷が治れば退院ですな」
医師と看護師は一礼し、退室した。
「良かったね、明日香ちゃん」
マスターが真っ先にそう言った。
私は何度も頷き、月の手を握った。
神様なんて信じてないけれど、
もしいるのなら。
「ありがとう……」
私はぽそりと呟いた。