孤高の狼に捧ぐ恋唄
でも、私は……
私はそこで一旦思考を取り止め、マスターを見て、言った。
「私、病室に戻りますね」
「ん?
月の意識が戻るまで居なくていいのかい?」
不思議そうに訊いたマスターに、私は微笑んだ。
「ちょっと疲れちゃったから……」
マスターもそれ以上は何も言わず、ただ、私を心配そうにしていた。
「一人で大丈夫?」
「えぇ、傷で少し熱っぽいですけど、ゆっくり戻りますから、大丈夫です」
そう言ってマスターに会釈し、私は廊下に出た。