孤高の狼に捧ぐ恋唄
「月の……妹さんの事件の、犯人の弟だった」
つまり……
「復讐……だったんだよ」
苦しそうに言葉を吐き出すマスターに、私は目眩がした。
月は妹の復讐に亜龍の兄を殺し、
亜龍は兄の復讐に月にナイフを向けた……
どちらも肉親を奪われた復讐に……
「だから、亜龍はまた月を狙ってくる可能性が高いんだ」
そしてマスターは、つらそうに私を見た。
「亜龍の復讐は、月か亜龍が死ぬまで続くかもしれない。
だから、明日香ちゃん……」