孤高の狼に捧ぐ恋唄
私が反応出来ずにいると、マスターはゆっくりと言った。
「明日香ちゃんが来るようになってから、月はいい意味で本当に変わったんだ。
笑顔が出せるようになっただけじゃなくて……」
マスターの目に、じんわりと涙が浮かんだ。
「亜龍が明日香ちゃんを刺して逃げ出したとき、月は『守れなかった』って言ったんだ。
人に関心を持つとか、
守るとか、
月は『妹がいない今、俺には関係ない』って言ってたのに……」