孤高の狼に捧ぐ恋唄


「明日香って、お前にぴったりな名前だな」



不意に言われた言葉に、私は一瞬、何を言われたのかわからなかった。



「明日が香る、だろ?」


そう言われてやっと、自分の名前のことを言ってるんだと理解出来た。



「妹が死んでからの俺には明日なんてなかったし

明日が来ると感じられることもなかった。

でも今、明日香から明日を感じる。

……未来を感じる。

俺が未来を生きるのを、妹は許してくれるかな……?」



月が私を見つめる。




私は静かに頷いた。


< 193 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop