孤高の狼に捧ぐ恋唄
ピンと張り詰めた空気の中、月がゆっくりと亜龍に言った。
「おまえの兄を殺したこと。
後悔はしていないが……
……悪かった」
最後のセリフに、亜龍が目を見開いたのがわかった。
「……悪かっ…たァ?」
反芻する亜龍に、月は頷いた。
「あぁ。
おまえの兄が妹にしたことは許せないし、そのために殺したことは後悔していないが……
おまえから兄を奪ったことに対しては、悪かったと思ってる」
ギリ、と亜龍が歯を噛み締める音が聞こえた。
「……ふっざけんなっ……」