孤高の狼に捧ぐ恋唄
「そんな綺麗事はききたくない!!」
余裕の無くなった亜龍は月に向かって吼えた。
「そんなことは認めない!
オマエは兄を殺した!
償え!償え!償えよぉお~っ!!」
散々がなり立てた後亜龍はガクンと首を落とした。
「おれは許さないんだぁ~
一生……一生……」
そう言ってうなだれる亜龍は、ベッドの上で小さく小さく体を丸め、
駄々をこねる子どものように、頭を振り続けた。
亜龍も、本当は心の隅でわかっていたのかもしれない。
復讐するという決心の裏にあるものを。