孤高の狼に捧ぐ恋唄
廊下では月が、羽生さんに質問攻めにされていた。
落ち着いて受け答えをする月は、つい少し前まで意識不明の重体だったことを微塵も感じさせてはいなかったが、さすがに疲れた様子だった。
私が思っている以上に、亜龍との対峙は気を張っていたに違いなかった。
納得したようなしないような羽生さんを尻目に、月は私を手招きした。
「行こう」
そう言った月の顔は、真っ直ぐに未来を見つめているかのようだった。
私が頷いて月のそばへ行くと、月が私の手にそっと触れた。