孤高の狼に捧ぐ恋唄
繋別
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あれから月日が経ち、私は退院した。
両親は、『セレネ』に行こうとする私を叱りつけたが、羽生さんの口添えもあり、渋々了承してくれた。
両親は、場所を不吉に思っていただけで、マスターや月は命の恩人であることから、強く反対する気はなかったようだ。
相変わらず私は『セレネ』に入り浸り、マスターは微笑みながらカフェオレをいれてくれた。
亜龍は退院と同時に、傷害罪で身柄を拘束された。
その後、一度だけ羽生さんが『セレネ』に来て、亜龍の今後についてマスターに話したらしい。
マスターはただ一言、
「もう心配ないみたい」
とだけ言った。