孤高の狼に捧ぐ恋唄


「約束する」



キスのあと、囁くように月が言った言葉に、私の胸は苦しさを増した。



そして月は私から離れ、振り返らずに『セレネ』を出ていった。





「……うっ……ふぇっ……」



店に一人残された私から、我慢していた感情がとめどなく溢れ出していく。



私は月の手枷になりたくないから。



そう思っているくせに、いざ離れるとなると、こんなにも苦しい。


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