孤高の狼に捧ぐ恋唄


月は左頬を触り、少しためらった後、言った。



「……苦労するぞ?」



月からの答えが『ダメ』でなかったことに安堵する。



「私、月と一緒なら、平気だよ?」



そう言った私を、月は抱き締めた。



「俺も、明日香と一緒がいい」



その言葉に、私はまた泣けてきて。



「……ふっ……く……月ぇっ……」



月に体を預けて泣く私を抱き締める力が、強くなった。



「一緒に、行こう」



返事をするかわりに、私も月にまわす腕に力を込めた。



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