孤高の狼に捧ぐ恋唄
そして当日。
いてもたってもいられない私、
くるくるといつも以上にせわしなく動く母、
ソファーにどっかと座り新聞を広げつつも、どこか空々しい父。
日常のようで、日常でない様子の我が家。
時計はもうすぐ月との約束の時間。
私はちらちらとこちらを窺っている両親を尻目に、表で月を待とうと思った。
玄関を出て、家の前の道路で月の来る方向を見ながら、今か今かと彼の姿を待つ。
ふと空を見上げると、白い雲がいくつか広がりを見せる中、ぽつんと浮かぶ、
真昼の月。