孤高の狼に捧ぐ恋唄
どうして調べてるのか、など型通りの質問のあと、おじさんは名刺をくれた。
羽生(ハニュウ)という名前の人懐っこそうな刑事さんだ。
「うちの兄が昨日から帰らなくて。
もしかしたら、被害にあったのかもと思って……」
嘘を並べたが、さすがに刑事さんには通用しなかった。
「本当は、アイツを知ってるんじゃないのか?」
一瞬、ドキリとしたのはバレなかったろうか?
「アイツ……?」
私の呟きに、羽生さんは頷いた。