孤高の狼に捧ぐ恋唄
私の想いは、月のことを追い詰めるだけなのかな。
そんなことがふと頭をよぎった時、月が言った。
「ここのマスターは、俺のやったことを知ってる。
でも、マスターにも羽生さんにも言ってないことがある。
……だから、明日香の想いには応えられない」
私は迷った。
これ以上、月を苦しめてはいけないという想いと、
もっと月のことを知りたい、重みを分かち合いたいという想い。
踏み込んでいいのかなという想いと、
踏み込んで、外に連れ出したいという想い。
そんな想いがぐるぐると私の中を駆け巡った。