孤高の狼に捧ぐ恋唄


緩やかな風が流れ、月の髪をサラリと撫でる。



少し緊張している私から視線を逸らし、月は落ち着いた声で話し始めた。



「羽生さんたちは、俺と妹が異母兄妹だと思っているが、本当は違う。

異母兄妹ではないんだ、正確には」



月は一旦言葉を切り、空を仰いだ。



まるで、妹さんの面影を求めるかのように。



「正確には、父親も一緒だ。

正真正銘の兄妹だ」


そしてそっと月は目を閉じた。


< 81 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop