孤高の狼に捧ぐ恋唄


月は私を見て、少し微笑んだ。



「犯人を殺したことは後悔してない。

後悔しているとすれば、自分の不甲斐なさだった。

でもこれからは後悔だけじゃなく、妹に胸を張れるように生きるよ。


……気持ちの整理はまだつかないけど、

なんだかスッキリした。

ありがとう、明日香」



そう言った月の顔は、とても穏やかで。


空に浮かぶ優しい満月のように、心が安らぐ表情だと思った。



「ううん、私なんて…」


何もしてないよ?

そう言おうとしたら、月がそっと手を伸ばし、私の頭を撫でた。



「……そろそろ帰るか。送るよ」



急に立ち上がった月の顔がなんだか赤く見えたのは、私の気のせいかな……?


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