愛した名前


『・・・桜井がさきは俺の女だって、』


けいの声がどんどん弱々しくなってくる。


「・・・」


私は黙る。


なんで、あきらが出てくるの?


ちゃんと、ごめんねって謝って認めてもらったと思ってた。


誰があきらにけいの番号教えただろう・・・。


『さき?もしかしてお前・・・浮気?』


黙り込む私に問う。






「・・・え?」



浮気?


どうして?


私、会ってないって言ったじゃん・・・。


連絡もとってないって言ったじゃん・・・。


「けいは・・・さきじゃなくて、あきらを信じるの?」


なんだか気にくわなくて声を低くしてしまう。


『ちげーよ!でも・・・さき、あんまメールとかしてくんないし。俺ら本当に付き合ってんのかなとか、思っちゃうし。そんな時あんな電話かかってきたら、信じたくても、信じらんねーよ・・・。それに、仲、良さそうだな・・・?』


時間がたつにつれて弱々しくなるけいの声。


「仲良くないよ・・・?」


『あきらって桜井のことだろ?』





あ・・・、


私が黙る横でみとりちゃんが口を開けた。


< 107 / 213 >

この作品をシェア

pagetop