愛した名前
「ゲームセット」
審判の声で試合が終わる。
握手をして、堂々とコートから出た。
「さきー!」
たくととみとりちゃんが観客席から手をふっていた。
けいは・・・とあたりを見回すと、試合中だった。
背が高くて、そこそこ上手いけいは違う中学の1個年上の人と互角に戦っていた。
『頑張れ』
心の中でそう思いながら、私はたくとのところへ行く。
「あーあ。かわいそう。さっきの3年泣いてたぞ?」
そう言って面白そうに言ってくる。
「勝負の世界はこんなもんでしょ!勝ちたかったら努力すれって感じ。」
バドミントンのことになると偉そうになる私を、2人は、ははって笑った。
「あと何回勝てば全国?」
みとりちゃんが聞いてきた。
「わかんない!まあ、勝ってけるしょー」
「適当なやつだなお前は・・・負けたらどうするよ?」
余裕な私にたくとはあきれ気味。
「知らん!さきが負けるとでも思ってるの?」
そう言う私を2人は顔を見合わせて笑った。
すると、後ろからタオルで叩かれた。
「いたっ・・・あ!」
けいのにおいだあ・・・。