愛した名前
「ありがとう・・・」
私はおじさんに言った。
「でも、どうしてさきの試合を見ていたの?」
私は凄く気になった。
「それは・・・君のバドミントンが気に入ったからさ」
「気に入った・・・」
私はよくその意味がわからなかった。
おじさんはふって笑ってまた口を開いた。
「君には、才能がある。前の羽を取りに行く時の、あの早い動き。奥までとばせる腕。何よりも、羽を追う目が・・・そう、輝いていたよ。」
輝いていた・・・――――
前にもけいが言ってた。
《さきが打つ羽は輝いてる》
そんなことを。
ただ、楽しかったんだ。
バドミントンをすることが・・・。
「もっと上手くなることを保障する。だから、全国・・・いや、将来、世界を目指して、僕のところに練習に来ないかい?」
「せっ、世界?!」
私は目を丸くする。
「こんな私が、そんな大きな夢を持ってバドミントンをやっていいの・・・?」
はっきり言うと、そこまで自信なんてないし・・・。
そう言ってくれるのは、凄く嬉しいんだ。
だけど、私より上手な人なんて沢山いるの、こんな私でもわかってるんだ。
きっと、目指したとしても・・・気持ちでも技術でも負けて、ただ落ち込むだけだと思う・・・。