愛した名前



そんな私を見て、けいはにこって笑う。


そして、大きく腕を広げた。


私はすぐに、けいにかけよる。


自分なりに速く、速く走って、その勢いでけいの腕の中へとスッポリ入っていった。


すると、けいは声を出して静かに笑った。


「ははっ・・・さきはえー!」


大好きなけいが笑ってる。


だけど、私は上手く笑えない。


「けいー・・・」


飛行機に乗ってしまったら、もう後には戻れない。


・・・行くって決めたのに、けいに会ってしまうと



「けい・・・行きたくな」


途中で私の声を止めたのは、けいの人指し指だった。


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