愛した名前


そっと離れて、私は下を向く。


滴が下に落ちてしまった。


・・・また泣いちゃった。


「さき・・・」


そう呼ばれてすぐに顔をあげる。


「私・・・行く!」


そう言って、歩きだす。


「さき!」


けいの声で呼び止められて、後ろを振り向く。



言ったあとに


『愛してる』


そうやって口を動かした気がした。



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