愛した名前
「よぅ、さき!」
机に頭をのせる私の頭をたくとが叩く。
「ぃったあ・・・」
私はたくとの方を向く。
たくとは私の方を向いて「おはよ」と言った。
「おはよ・・・あのさ、たくと桜井って人にさきのアド教えた?」
不機嫌な顔で聞いてみる。
「あ~・・・なんか、知りたがってたから。さきも他校とメールしたいって言ってたじゃん?ダメだった?!」
たくとは申し訳なさそうに言った。
「いや、なんかあの人むかついてきちゃうんだよね。一言一言が、ね」
私は苦笑いする。
「でも、面白いやつじゃない?」
「え・・・全っ然!」
大きな声で私は言った。
桜井晃って人の考えが読めない。
意味不明。
「何がさきちゃんだよ的な」
私は口をとがらせる。
「ま、さきと仲良くしたいんじゃない?」
たくとはそう言って笑った。