愛した名前
「ん~、出る?って言われても。もう、申込みしたし」


私はだるそうな声で言った。


「まあね~。桜井も出るんだって♪」


明るい声で言うたくとの考えもよくわからん。


私はたくとを無視して崎野慶のことを考える。


「崎野君も出るのかな~・・・」


「おまっ!崎野のこと好きなの!?」


小声で言ったはずの声がたくとに聞こえてしまった。


ま、どうでもいっか。

本人も知ってることだし・・・。






『好きにならせて?』




・・・好きになってよ・・・。






「おい、さき聞いてんのかっ」


たくとが私の頭を叩く。


「もーやめてっ!好きでもいいじゃ~ん」


「あいつなら桜井の方が絶対いいって!」


「・・・ばーかあ。アリエナイッ」


たくとにあっかんべをする。


「桜井は・・・絶対さきのこと大切にしてくれる。いつもテンション高いのはムカツク時あるかもだけど、桜井はさきのこと本当に・・・」


「たくとーっ!ちょっとちょっと~これ見てみ!う〇ちっ!!」


「こいつちょーうめー!わはっ」


「だろ?♪」


3人組の男たちが黒板に書いてある物を指して笑う。


「ただのアホだろ」


そう言ってマジメに答えた。
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