愛した名前
「でさ、さき?やっぱ桜井の方がいいと思うな~」


すぐに私の方を向いてそう言った。


「・・・切り替えはやあ」


「あいつらには付き合ってらんねっ」


さっきの3人組を見ると、また何か書き始めている。


「で!崎野は信用してねぇし、桜井はいいやつだぞ」


どうしてそこまで桜井君をすすめるのかがわからない・・・。


「てか、桜井君は信用してんだ?」


「うん」


自信満々に頷く。


あんなお調子者なんて、好きにならない!


「・・・でも、さきが好きになっても桜井君が好きじゃなきゃ意味ないし?絶対さきなんか好きにならないと思うし?」


「ふ~ん」


たくとは眉を上げて不思議に笑う。


「何・・・」


「本当は好きだったりして~♪」


満面の笑顔で言うたくと。


「本当ばかじゃんっ?」


私は唇をとがらせる。


「あー、ごめんっごめんて。ほらぁっ、チョコ買ってやるからさ」


たくとは私の機嫌をとる。


いつもいつも。


私が怒ると機嫌をなおそうとする。


私以外にはそんな事しないのに。


てか、私以外の女子とは話すこともない。


多分、私は話しやすいんだろうなあ。


バドミントンの話とかできるし?


でも、もっと女子とも話せばいいのに。


って最近思う。


だって、顔かっこいいし、バドミントンそこそこ上手いし、スポーツできるし、性格もまあいいし。


ちょっとクールなとこもあるけど?


多分、そこもモテル要素のひとつに入ると思うんだけどなあ。


告白されるチャンスも何回もあったのに、全部無視・・・。


告白する方の事もちゃんと考えなくちゃねぇ?


「・・・てか!自分が付き合う気ないならさきにも言うなって!!!」


「女の子は幸せになるもんだろ?」


何を言ってるんだろう?この人・・・。


「男子だって幸せになる権利あるでしょ?」


「俺はひとりでもいいけど?誰かを幸せにする気もないし♪」


「別に、たくとがいいならいいけどさあ~」

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