愛した名前
私がイスの前で立ちながらプログラム表を見ていると、
後ろから とんとん と誰かが私の肩を叩いた。
「あ?」
気のぬけたような声で後ろを振り向く。
そこには、にんまりと笑う1人の男の子。
私は、その笑顔に偽笑顔を返してすぐにプログラム表に目を戻す。
すると、隣にいるたくとがいきなり叫びだした。
「おーっ!桜井じゃん!」
私はビクッとして2人が話しているのを見つめた。
たくとと桜井君は本当に仲が良さそうで・・・。
すると桜井君がちらっと私の方を向き、たくとに向かって口を開く。
「さきちゃん、冷たいんだよ~!たくとく~ん、どうしてだと思います~?」
わざとらしく言う桜井君にムカツク私。
「仲良くしよって言ってみ?」
たくとはクスクスと笑いながら言う。
桜井君は「わかったあ!」と言って私の方を向く。
「さきちゃん仲良くしよ~?♪」
笑顔で言う桜井君。
よく見ると、目が丸くてまつげが長くて、いい感じに顔が小さくてかわいい顔をしている。
「本当に男?」
桜井君の顔を見つめ、思った事そのまま言った。
「えっ」
桜井君は眉を下げて困った顔をした。