愛した名前


「さきちゃんは・・・俺が男に見えない?!」


「ん・・・まあ、ね」


私は苦笑いをする。


男にはちゃんと見えるけど・・・。


なんか、桜井君てMなのかもしれない?


「たくとー!さきちゃんが!さきちゃんが!!!!」


桜井君は私の隣にいるたくとに救いを求める。


たくとは面白そうに笑って、


「冗談だよな?さき~」


と言った。


「まあねぇ」


私はとりあえずたくとに合わせとく。


私がそう言うと、桜井君は安心したような笑顔で「あせった~!」と言った。


・・・桜井君て、ただ元気よすぎなだけなのかな?


私は桜井君に冷たくした事をすこ~しだけ反省。



「あ!そーだそーだ~」


桜井君は思い出したようにポッケか何かを取り出す。


そして、それを私に差し出した。


「これ、あげる」


桜井君が持つ手には私の大好きな、赤い箱に入ったチョコがあった。


私の大好物のチョコ。


しかも、チョコの中で1番好きな・・・。


「なんで・・・」


私はチョコを見つめたまま言った。


「俺の大好きな食べ物№1!!!」


そう言って無理やりチョコの入った箱を私の手の中に入れた。


・・・大好物、おんなじじゃん!


てか・・・・・・


「同じのあと2つあるんだけど」


私はぽつりとつぶやく。


「えっ!なんで・・・あ、えと、」


桜井君は、焦ってかみまくり。


「ぷっ・・・」


そんな桜井君を見て初めて桜井君の前で笑ってしまった。


桜井君は一瞬で私を見た。


「私の大好物。ありがとねぇ」


そう、笑顔で言った。


それだけなのに、桜井君は嬉しそうな顔をした。










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